体力に自信がなくても参加できる里山活動:無理なく続けるための工夫とヒント
多様な参加者が活動を支える里山
里山での活動は、植生の整備や獣害対策、遊歩道の維持など、時に体力的な負担を伴う作業が多くあります。しかし、里山を保全し、その恵みを享受していくためには、多様な人々がそれぞれの得意なことや可能な範囲で関わることが不可欠です。
活動の担い手として長年貢献されている方々の中には、年齢を重ねるにつれて体力的な不安を感じる場合もあるかもしれません。また、これから里山活動に関わってみたいけれど、体力に自信がないと感じている方もいらっしゃるでしょう。
里山活動は、必ずしも重労働ばかりではありません。体力的な負担が少ない役割や、活動の工夫次第で、様々な方が無理なく参加し、継続することができます。ここでは、体力に自信がない場合でも里山活動に参加し、その一員として貢献するための具体的な工夫やヒントをご紹介します。
作業内容や役割の選択による負担軽減
里山活動には多様な作業や役割が存在します。体力的な負担が大きい作業(例:木の伐採、枝の搬出、急斜面での作業)だけが里山活動ではありません。以下のような、比較的体力的な負担が少ない、あるいは座って行えるような活動にも重要な役割があります。
- 観察・記録: 里山の植物、鳥類、昆虫、水生生物などの観察や写真撮影、記録。これにより、里山の生態系の変化を把握することができます。専門知識は活動を通じて学ぶことも可能です。
- 地図作成・更新: GPSやスマートフォンのアプリを活用し、遊歩道のルート、危険箇所、希少な植物の自生地などを記録し、地図を作成・更新する作業。
- 広報・情報発信: 活動の様子や成果をブログ、SNS、地域の広報誌などで発信する記事や写真の作成。
- 企画・事務: 活動計画の立案、参加者への連絡、会議資料の作成、会計処理など、活動を運営するための事務作業。
- 軽作業: 種まき、苗の植え付け、簡単な清掃、収穫物の選別や加工準備など。
- 休憩場所の準備・管理: 活動中の参加者が安全に休める場所の整備や管理。
- 昼食準備・交流促進: 活動後の交流の場を設けるための準備や、参加者間のコミュニケーションを円滑にする役割。
活動団体の中で、体力が必要な作業とそうでない作業を明確に分け、それぞれの参加者が可能な役割を選択できるような体制を作ることは、多様な担い手を確保し、活動を継続する上で有効な手段です。
活動方法や時間の工夫
現場での作業を行う場合でも、工夫次第で体力的な負担を減らすことが可能です。
- 短時間参加: フルタイムでの参加が難しい場合は、午前中だけ、あるいは特定の作業時間だけ参加するなど、短い時間で区切って参加する。
- 作業工程の見直し: 一つの作業を分割し、体力が必要な部分とそうでない部分を分担する。例えば、伐採した木材を細かく玉切りする作業は、体力がある人が行い、それを運びやすい場所へ移動させたり、積み上げたりする作業は他の人が行うといった分担です。
- 休憩を頻繁に挟む: 無理をせず、こまめに休憩を取りながら作業を進める。
- 道具の活用: 軽量な剪定ばさみや、電動のこぎり、一輪車や運搬車など、作業を補助する道具を適切に利用する。全ての道具が高価なわけではなく、工夫次第で手に入るものもあります。
- 体の使い方の意識: 腰や膝への負担を減らすために、持ち上げ方を工夫したり、無理な姿勢を避けたりする体の使い方も重要です。既存の記事で紹介されている内容も参考になります。
参加者を支える環境づくり
体力に不安がある方も安心して参加できるような環境づくりも、活動継続には欠かせません。
- 安全への配慮: 活動場所の危険箇所を事前に周知したり、緊急時の連絡体制を整えたりすることは基本です。体力に不安がある参加者のペースに合わせた作業計画を立てることも重要です。
- 情報の共有: 作業内容の難易度や必要な体力を事前に伝え、参加者が自分に合った活動を選べるように情報を提供します。
- 互助の精神: 参加者同士が互いの状況を理解し、助け合いながら活動を進める雰囲気を作ることも、無理なく活動を続ける上で大きな力となります。
まとめ
里山活動を将来にわたって続けていくためには、一部の限られた人々だけでなく、多様な背景や体力を持つ人々が参加できる開かれた活動である必要があります。体力に自信がない場合でも、活動には様々な役割があり、また活動方法や時間、そして参加者を支える環境を工夫することで、無理なく里山に関わり続けることが可能です。
それぞれの活動団体が、参加者一人ひとりの状況に応じた柔軟な受け入れ体制を整え、多様な形で里山再生に貢献できる道筋を示すことは、担い手不足の解消にも繋がり、活動の裾野を広げることに貢献するでしょう。活動の現場から生まれた知恵や工夫を共有し、より多くの人々が里山の豊かな恵みを守り育む活動に参加できる未来を目指していくことが重要です。