里山再生の現場から

活動の魅力を引き出す里山現場での写真・動画撮影術

Tags: 写真撮影, 動画撮影, 情報発信, 活動記録

はじめに

里山での活動は、木々の手入れや草刈り、道の整備など、多岐にわたります。これらの活動を通じて里山の環境は少しずつ変化し、豊かな自然が育まれていきます。こうした活動のプロセスや成果を記録し、多くの方に伝えることは、活動の継続や新たな担い手の募集において非常に重要です。特に、写真や動画は視覚的に強く訴えかけ、現場の雰囲気や活動の意義を伝える powerful なツールとなります。

この記事では、里山活動の現場で役立つ写真および動画撮影の具体的なコツについてご紹介します。高価な専門機材がなくても、手持ちのスマートフォンやデジタルカメラで実践できる方法を中心に解説します。

里山活動の現場で写真が果たす役割

里山での活動記録として写真は欠かせません。どのような場所で、どのような作業を、誰が、いつ行ったのかを明確に伝えることができます。また、活動の「前」と「後」を比較することで、成果を分かりやすく示すことも可能です。さらに、写真を通して活動の楽しさや現場の美しい風景を共有することで、興味を持った人が活動に参加するきっかけにもなります。

里山現場での写真撮影のコツ

  1. 被写体を明確にする

    • 人の活動: 作業に熱中する人の表情、道具を使う手元、協力して作業する様子など、人が里山と関わる具体的な姿を捉えます。単に作業風景を写すだけでなく、活動の熱意やチームワークが伝わるような瞬間を意識します。
    • 里山の変化と成果: 整備が進んだ場所と手つかずの場所の比較、作業前後の様子の変化、積み上げられた伐採木、綺麗になった水路など、活動による具体的な成果や里山の変化を記録します。
    • 動植物: 里山で見られる特徴的な植物、昆虫、野鳥などの写真を撮ることで、その場所の豊かな生態系や季節の移り変わりを伝えることができます。可能であれば、名前や特徴を添えると情報価値が高まります。
    • 風景: 朝日や夕日に染まる山並み、霧が立ち込める幻想的な森、季節ごとの里山の色彩など、その場所ならではの美しい風景を捉え、活動場所の魅力を伝えます。
  2. 構図を意識する

    • 三分割法: 画面を縦横それぞれ三分割する線をイメージし、伝えたい被写体をこれらの線が交わる点や線上に配置すると、バランスの良い写真になりやすいです。
    • 日の丸構図を避ける: 被写体を画面の真ん中にドンと配置するよりも、少しずらした方が動きや奥行きが出ることが多いです。
    • 前景を入れる: 写真に奥行きを与えるために、手前に木や草などを少し写し込むことも効果的です。
  3. 光を活かす

    • 順光、逆光、半逆光: 太陽を背にして撮る順光は被写体が明るくはっきり写りますが、単調になりがちです。太陽を正面に撮る逆光は光と影のコントラストが強くなり、雰囲気が出ますが、被写体が暗くなりやすいです。太陽が斜めにある半逆光は、被写体に立体感や陰影が生まれやすいです。時間帯や被写体に合わせて光の当たり方を工夫します。
    • 木漏れ日: 森の中では、木漏れ日が美しい光の模様を作り出します。これらを活かした撮影も里山らしさを表現できます。
  4. アングルを工夫する

    • 普段見上げる木々を下から撮る、足元の小さな植物をしゃがんで撮るなど、いつもと違う視点から撮ることで、新鮮な写真になります。作業中の人の目線や、作業を見守る動物の目線を想像して撮るのも面白い試みです。
  5. スマートフォンでの撮影のポイント

    • グリッド線: 多くのスマートフォンのカメラアプリにはグリッド線を表示する機能があります。これを活用すると、三分割法などの構図を取りやすくなります。
    • 露出補正: 画面をタップしてピントを合わせた後、明るさを手動で調整する機能を使うと、意図した明るさで撮影できます。
    • 手ブレ対策: 里山での作業後など、疲れていると手ブレしやすくなります。しっかりと構え、可能であれば何枚か続けて撮ることで、ブレの少ない写真を選べます。

里山活動の現場で動画が果たす役割

動画は写真以上に現場の臨場感や時間の流れを伝えることができます。木を伐採する音、鳥のさえずり、川のせせらぎなど、里山の「音」を含めて記録することで、より豊かな情報伝達が可能になります。作業の具体的な手順や、参加者の活き活きとした様子を伝えるのにも動画は適しています。若い世代への情報発信という点でも、動画、特に短い動画は効果的です。

里山現場での動画撮影のコツ

  1. 手ブレを抑える

    • 動画は写真以上に手ブレが目立ちます。脇を締め、しっかりとカメラ(スマートフォン)を構えることが基本です。可能であれば、三脚や簡易的な固定具(ゴリラポッドなど)を使用すると、安定した映像になります。スマートフォンの手ブレ補正機能も活用します。
  2. 短く分かりやすく撮る

    • インターネットでの公開やSNSでの共有を考えると、長すぎる動画は最後まで見てもらいにくい傾向があります。伝えたいポイントを絞り、数秒から数十秒程度の短いクリップをいくつか撮影し、それらを編集で繋ぐ方が、メリハリのある動画になります。
    • 一つの作業工程全体を記録する場合でも、要点を押さえた部分を分けて撮影し、後で繋げる方が効率的です。
  3. 音声を意識する

    • 里山の自然音や、作業中の会話、道具の音なども動画の重要な要素です。風の強い日などはノイズが入りやすいため、可能であれば風防マイクを使用したり、風の影響を受けにくい場所で撮影したりする工夫が必要です。
  4. 様々なアングルから撮る

    • 同じ作業でも、正面から、横から、少し高い場所から、低い場所からなど、複数のアングルで撮影すると、編集時にバリエーション豊かな映像を作成できます。
  5. スマートフォンでの動画撮影のポイント

    • 横向きで撮る: 多くの動画共有プラットフォームやウェブサイトでは横長の動画が標準です。スマートフォンを横向きにして撮影することをお勧めします。
    • ズームは控えめに: デジタルズームは画質が劣化しやすいです。可能であれば、被写体に近づいて撮影します。

撮影した写真・動画の活用方法

撮影した写真や動画は、単に保存しておくだけではもったいないです。様々な方法で活用することで、活動の価値をさらに高めることができます。

まとめ

里山活動の記録として写真や動画を活用することは、活動の成果を目に見える形で示し、多くの人々と共有するために非常に有効です。今回ご紹介した撮影のコツは、特別な技術や機材がなくても実践できる基本的なものです。日々の活動の中で少し意識してシャッターを切ったり、録画ボタンを押したりするだけで、記録の質は大きく向上するはずです。

撮影した写真や動画は、活動の貴重な財産となります。これらを積極的に活用し、里山活動の魅力を広く発信していくことで、新たな仲間との出会いや活動の更なる発展に繋がることを願っております。継続的な記録と発信を、ぜひ活動計画の中に組み入れてみてください。